水星は、伝達手段を表します。水星の品位によって、その人のコミュニケーションの仕方が見えてきます。例えば、楽しい会話や何気ない雑談は、主に金星や月が担当します。結論を求めるディベートが得意な人は、火星と水星のアスペクトを持つ人が挙げられます。
火星は闘争心、水星は伝達方法であるためです。火星と水星が合わされば、ディベート(言論勝負)に関係します。実際に、ディベート関係でよく挙げられる西村博之氏(下)のチャートをみてみますと、火星が蠍座にいて、ドミサイルとなっています。水星も蠍座で、品位では中立になり、ドミサイルで強い火星とコンジャクションです。これだけでも男性的で強い火星に影響を受けています。
つまり、定座にいる火星が強い状態であり、その影響を水星に与えています。また、水星と牡牛座の木星がオポジションで引き合い、ここで木星(拡大)の意味が加わります。もし、水星が魚座で火星が蟹座だったら、大分、話し方の印象は違ったのだと思います。
また、火星と水星の場所ですが、より活発になるハウス(JOY)にあれば、より水星は活動的になります。1ハウスに水星があれば、その傾向が強まりますので、その人の水星が強いかどうかも判断できます。火星が昼生まれのチャートの場合は、火星の強さに拍車が掛かります。水星が1ハウスにあって、それが火星に重なっていれば、やはり口達者になるのだと思います。
そして、もしそのどちらも高揚(イグザルテーション)している場合は、水を得た魚のような状態になると言えます。しかし、これがもし金星とも重なれば、棘のある言い方もまろやかになり、海王星が加われば、幻想的な口調にもなりえます。相性図ではまた違いますが、これが本人の性質となります。
また、議論で西村氏を下した米山隆一氏(上)は、水星が乙女座にあります。これが高揚で定座となっていて、最も水星が生きている状態です。そして、この水星とアスペクトする火星は蠍座の定座で、セクスタイルを形成しています。これだけではありますが、議論を有利に進めるためには、水星が強い状態である事が重要なのだと判断できます。いずれにしても水星に対して、アスペクトする火星が強い人は、議論が好きか、得意なのかもしれません。
水星の品位が最も落ちるのは魚座ですが、これだけでは水星力が弱いとは言えません。例えば、脳科学者のチャート(上)は、水星が魚座ですが、ハウスの位置から見ると、射手座にあるドミサイルの木星とスクエアを形成していて、水星は木星の影響もうけているということになります。90度(±)で見るというより、ハウスの単位で見るアスペクトです。
この場合はリセプション(品位を無視すれば)の状態になっています。スクエアにあるために、届きにくいですが、魚座は木星の良い影響を多少なりとも受けることができる状態です。水星の位置は、それぞれのハウスや星座というフィルタを通して、それ特有のものになりますが、それが少し傷ついていても、高揚している天体や、定座の天体とアスペクトすれば、そのマイナスを多少なりとも緩和する事ができます。
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