辛と壬の相性(山下誠司さんの命式を見る)

“年収1億円になる人の習慣”の著者であり、実業家で元美容師の山下誠司さんを、四柱推命で解いてみます。

性質の大部分を占める日干は陰金の“辛”(かのと)です。辛は磨き上げられた宝石で、独自の美と繊細さを持ちます。命式の五行には変化を促す合がなく、月支は丑の後半で土が強く、埋金ではありません。他、日干を生じる土に囲まれています。しかし、この丑は日支の未と朋冲(同じ土の五行の冲)の関係になり、やや土が弱まります。

冲にある未の蔵干(中気)に”丁”(ひのと)がありますが、これが冲去し、時柱を見なければ火が全くない命式です。日主を剋する火がなく、土が多い。冬の丑月生まれなので調候としては陽火(丙)が必要な命式ですが、全体的に水も少ないです。

日主の金は木を剋しますが、木が多すぎるために逆相剋と取れば、日主は身弱になりえますが、やはり日主の周りに土が多いため、やや身強とも取れます。ただ、土は冲で弱くなっていているため、時柱の五行がキーワードになりそうです。従星を使った判定の場合、やや身弱です。

時干支抜きで、生剋は偏印と偏財の命式。人を惹きつけますが、こだわりが強く個性的で、独自の美学を持つ偏印格。偏印は凶星とされていますが、この凶意は先ほどの朋沖によって中和され、偏財によっても制剋されるため、元々の良さが前に出やすくなります。

日主に土が固まっている型のため、やや身強とみると、官星や財星が喜神となります。

しかし、冲によって土がやや弱くなり、木が強勢で身弱と見ると官は忌神となるため、絶妙な所ですが、のちに大運で巡ってくる大運(丙戌)が巡った時から銀座店の店長に就任し、ご活躍が目立つようになった所を見ると、身中か身強(この運は火であり官です)この火は偏印を強めますが、制化があるため忌神が巡ってもそれほど問題はないのだと思いますが、最終的には時柱を見なくてはいけません。

この時期は経営者として色々なトラブルに見舞われたそうですが、着実に成功を積み上げられていったという時期です。そして、その後の大運でも財星が巡る事で、躍進を続けられています。

偏印格は、非凡で独創性が強いですが、特にこの命式には制化の偏財がある事で、偏印の良さを肯定しています。偏印の体験から貪欲に学びとろうとする姿勢が良い方向に向いた結果、トップの美容師として君臨し続けた強みとなったのだと感じます。

コミュニケーションが苦手とおっしゃっていますが、これも、命式の中に食傷(表現の星)がないためかもしれません。そもそも偏印格である場合は、ドライな気質が強いです。しかし近年は、月干支の干合(大運)によって、山下さんを取り巻く周囲の環境に変化があり、インターネットや講演会など、公の場などでお話しされる機会も増えています。

辛の人で、水が少なく、丑月生まれになるため、調候用神は丙と壬です。山下さんはインタビューの記事で、水の力を身に付けたいと仰っていました。水がない命式であるのと、また、山下さんは日干が辛ですので、壬とは和用神の関係にもなります。また、逆に水は金属の融解で発生するため、辛と壬は母と子の関係であります。また、これは淘洗珠玉の相性にもなります。

壬(みずのえ)は、その名の通り大流の水を指し、辛(かのと)は金属を表します。壬は、金や宝石の汚れを洗い流し、辛の姿をより美しいものにし、辛の輝きは、水を煌びやかに美しく見せるという意味があり、双方にとって良い影響を与え合うとされています。土は十分で、命式に足りない水を欲している事は、本当に勘が良い人だと感じます。

下記は山下さんのHPより引用。

中国春秋時代の哲学者、老子は、「上善(じょうぜん)は水の若(ごと)し。水は善(よ)く万物を利して争わず、衆人の悪(にく)む所に処(お)る、故に道に幾(ちか)し」という一節を残しました。老子は、「上善(もっとも理想的な生き方)とは、水のようなもの」だと述べています。水には、相手に合わせて自分の姿を変える柔軟性があります。

そして、常に、低いところに流れ、低いところに身を置く謙虚さも持っています。大地に恵みを与え作物を育てたり、人々の喉を潤すおだやかな「癒し」の力を持つ一方で、ときに激しい流れとなって、岩をも砕く破壊力を持っている。柔軟性と、謙虚さと、癒しと、破壊力を兼ね備えた「水」のパワーを身に付けることができたら、スーパーヒーローになれる。私はそう思っています。

https://doers.style/interview/yamashita_s/
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