干支暦の仕組みと黄道12星座

西洋と東洋の占星術では、どのようにして干支や宿命図を算出するのか、またどのような意味があるのでしょう。

干支を算出する上で、1年と1カ月と1日の違い

占星術(生年月日使う占い)は、宇宙にある太陽系をベースとして使っています。生まれた日にちは、この太陽系にある天体の規則的な動きを干支(暦)や宿命図に反映しているのです。

地球は1日で1回転(自転)しますが、地球が太陽の周りを1回転するためには1年かかります。地球は自分でくるくる回りながら、さらに太陽の周りをくるくる周っています。年干支(生まれた年)が太陽の周りを回転する事とすれば、自転は日干支(生まれた日)を示しています。

月干支は太陽の周りを回り切る12ヶ月の内の1ヶ月を示しています。つまり、公転周期の間のどこに位置するかを示しています。

自然の法則に則っている

算命学では、この一連の周期で物事が1度完結するという所から、これらは自然の法則の乗っ取ていると考えられています。しかし、それ以降の時間や分数、秒数で一区切りするものはありません。例えば1時間で1回転したり、2時間で1回転するような法則をもつ天体はないため、算命学では時刻は使わないという事です。

また、人間は自然の一部とされており、時刻は人間が作り出した暦であるために、これら自然の法則には該当しない事も、時刻を使用しない理由となっています。また、太陽系の自転周期や公転周期というのは、それぞれが独立しているものとされています。

しかし、四柱推命では生まれた時刻を使って時柱を割り出し、4つの単位(年月日時)から命式を割り出しています。また、約2時間毎に時柱の干支は変わっていきます。このように、影響が見やすい三柱や四柱の単位を使っていますが、他にも30年を表す単位や、数百年の単位を表す暦もあります。暦は全て10単位ありますが、そのうち影響が出るものだけを使用しているという事です。

西洋占星術とインド占星術

他、時刻を使う占星術では、西洋占星術やインド占星術があります。地球の公転は、西洋占星術のホロスコープでいうと黄道12星座を1周するということです。その時に、どこの星座に天体が散らばっているか、度数で何であるかというのが、生まれた生年月日で示されるという事になります。

特に、太陽の位置によって何月に生まれたか、何座なのかというのが推測できます。そして、日数でその度数が決まる。生まれた年は、太陽以外の天体を配置する。

ここで、生まれた年が似ていると、周期や動きの遅い天体は似たような配置(世代間の天体)になりますし、生まれた月や日数によって、動きの早い天体の位置は変化し、それに伴って細かなアスペクトを形成していきます。そして、時刻については、西洋占星術ではアセンダントやハウスを算出する時に使用します。

アセンダントは出生者の始まり

アセンダントは出生者の始まりを示します。また、アセンダントは東の地平線を見ます。陽は東から登るためです。生まれた時刻がどの星座であり、どの位置にあるかというのを算出するのですが、時刻や場所によって東の地平線の星座は違っています。

星座は、地球が周る事と経過時間によって見え方は少しずつずれていきます。目の前に見えている星座は、約1ヶ月単位で次の星座に移っていきます。そして、地域や場所によっても見え方は違ってきます。

例えば、北の地域に行けば行くほど、逆に南に行けば行くほど、空の高い位置に見える星座もあれば、より手前側に見える星座もあります。それは緯度や経度によって変わるからです。場所によっては、星座が隠れて見えてしまうという事でもあります。

つまりは、時刻にプラスし、生まれた場所によって、アセンダント(東の地平線にある星座)が変わるという事でもあります。このために、西洋占星術では、生まれた場所も重要であり、それを選定するための正確な時刻も必要となります。このため、出生時刻が数分ズレると、結果も大幅に変わる事があります。

時刻がない場合はどうなるのでしょうか。時刻がなければ、ホロスコープは真っ黒のままです。盤面に星座があって、そこに天体が散らばっていても、どこからが朝で、昼で夜かは不明です。時刻によって、その人の陰陽を分けるという事にもなります。

トロピカルとサイデリアル

ちなみに、星座は1ヶ月で1つ星座がずれていきますが、何年もの時が経過すれば、星座の位置もずれてきます。自転や公転の歳運動により、微妙にずれが生じてきます。

ホロスコープ(12星座)を作成する上時に、代表的なシステムとして「トロピカル方式」と「サイデリアル方式」というものがあります。トロピカル方式は、「春分点」という位置に太陽が重なる時を基準にし、最初の星座を牡羊座と決めています。

春分点に太陽が来るのが毎年3月20日ごろになります。トロピカル方式は、春分点を基準に星座の配置を決めている方式という事になります。

しかし、春分点は少しずつずれているのです。春分点はどうやって計算するかというと、赤道と黄道が交差する所です。赤道は地球の中心を走っている線ですが、その先にある太陽の軌道(黄道)と交差する場所にあります。

(太陽と月の軌道上の重なりをドラゴンヘッドやドラゴンテイルと言いますが、陰陽が重なる場所は不思議)

しかし、天体の歳差運動によって、春分点は微妙に位置がずれ続けるわけです。それでも春分点を基準にするのがトロピカル方式です。つまり、ずれ続けてますが、春分点に太陽が来る時期を牡羊座としているのです。それがだいたい春頃の3月20日なので、この時期は牡羊座になっています。

一方で、歳差運動を調整して使っているのがサイデリアル方式です。サイデリアルは、春分基準と違い、動きのない恒星を基準にして星座の配置を決めています。ですので、夜空に浮かぶ星座に近い配置となっています。

72年に一度進む

サイデリアル方式は、歳差運動(72年で度数が1度ズレる)によって、現在の春分点に魚座にあると考えています。これは、動きのない恒星を基準にしている事から、固定星座方式とも言われています。つまり違いをざっくり言えば、春分点を基準にするか、動きのない恒星を基準にするかの違いとなります。

春分点は毎年少しずれていますが、春分点を基準にトロピカルは配置するので、季節は変わらないということになります。しかし、歳運動によって春分点は変わるため、もともと3月頃の空には牡羊座がありましたが、現在は魚座になっています。少しずつ逆行しながらズレていってるのです。

ここまで書いてみると、出生者のホロスコープにて、散らばる天体が位置する星座が変わる可能性があるという事になり、天体が散らばる星座の位置もズレることになります。アスペクト(天体間の角度)は変わらないですが、星座の品位や支配星の位置が変わる事があります。このように違いはあってもどちらも超重要です。

参考リンク:大阪市立科学館

(ちなみに金星は自転よりも公転のほうが早い)

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